厚生労働省によると、2017年度末時点の国内にある薬局の数は約6万軒を超えており、年々増加傾向にあります。
薬局とよく比較されるのが、どこでも見かける便利なコンビニですが、現在飽和状態を叫ばれるコンビニの数は約5万8000店(2017年度分)と、実は薬局よりも数が少ないという驚きの事実があります。
このような薬局の乱立状態が、「ブラック薬局」を生み出しているという指摘が多くあるのです。
それでは、どのようにブラック薬局を見分ければ良いのでしょうか?
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「ブラック薬局」の見分け方

「ブラック薬局」の見分け方はいくつかあります。
この記事では、薬局や薬剤師の様子など“見た目から分かる危険要素”、薬剤師との会話を通じて分かってくる“見えない危険要素”などについてご紹介します。
1.薬局・薬剤師の「掲示物」に着目する
1-1.掲示物が不十分である
ブラック薬局の見分け方でまず注目していただきたいのが、薬局内の掲示物です。
薬局には、薬剤師の名前や担当業務、「1類」「2類」といった一般用医薬品の区分などを、薬局の見えやすい場所に掲示することが定められています。
薬局又は店舗の管理及び運営に関する事項
- 許可の区分の別(薬局又は店舗販売業である旨)
- 薬局開設・医薬品販売業許可証の記載事項(薬局店舗名称)
- 薬局の管理者又は店舗管理者の氏名
- 当該薬局又は店舗に勤務する薬剤師又は登録販売者の別,その氏名及び担当業務
- 取り扱う要指導医薬品及び一般用医薬品の区分
- 勤務する者の名札等による区別に関する説明
- 営業時間,営業時間外で相談できる時間及び営業時間外で医薬品の購入又は譲受けの申込みを受理する時間
- 相談時及び緊急時の電話番号その他連絡先
何も掲示されていない薬局は、ブラック薬局の可能性が高いです。
1-2.スタッフの情報が薄い
薬局には「薬剤師」と薬剤師資格のない「登録販売者」、事務員などのスタッフがいます。
薬機法(旧・薬事法)に基づき、患者が肩書きを見分けやすいように名札をつけたり、白衣の色や形を区別することを厚労省が通知しています。
登録販売者とは、2009年に誕生した『かぜ薬や鎮痛剤などの一般用医薬品(第2類・第3類に限る)販売を行うための専門資格』です。
薬剤師が不在でも一般用医薬品販売ができる専門家として、薬局やドラッグストアからも注目されています。
名札がついていなかったり、スタッフ全員が同じ白衣を着ている薬局の場合、資格の範囲を逸脱した業務を行なっているスタッフがいても患者は見分けられません。
1-3店内・外のポスターが更新されない
『薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100』では、店内・外に貼られている「ポスター」も、有効な判断基準であると紹介されています。
「もう8月なのに、『6月×日から△△週間』など古い啓発ポスターを張りっぱなしにしている店舗は局内を管理できていない恐れがあり、薬剤管理もルーズな印象を持ちます」
著者:児島悠史(薬剤師)
2.薬剤師の「発言」に注目する
2-1.薬を渡すだけの作業になってないか?
お次の〇〇様~…
最初に『お薬手帳をお持ちですか?』と聞かない薬剤師には注意が必要です。
なぜなら、お薬手帳にはいつ・どこで・どんな薬を処方されたかが記録してあり、患者の服薬リスクを知るには欠かせないからです。
2-2.症状をきく薬剤師はgood!
はやくお薬が欲しいのだけれど…。
医師が書く処方箋には、病名など記載されていません。そのため、病状と処方箋が合致するか確かめるために、薬剤師が患者の状態を聞くことは重要な業務なのです。
実際に、病院の医師や事務スタッフの誤りで、病気と薬が合致しないことがあります。
2-3.患者からの質問に答えられない
処方された薬との飲み合わせは大丈夫?
薬剤師の主な業務は、処方薬の調剤と患者の服薬状況の確認、および服薬についての助言ですが、市販薬やサプリメントについての知識も必要です。
市販薬やサプリメントの中には、処方薬との飲み合わせが悪く、重篤な副作用が生じるリスクを持つものがあるためです。
患者から質問されても答えられない薬剤師は、勉強不足の可能性があると言えます。
薬局と薬剤師の役目は、その都度の薬を出したら終わりではありません。長期的に患者の服薬状況を見守り、助言することが求められます。
例えば、複数の薬を常用する患者の場合、医師が薬の量や種類を変更することがよくあります。薬を渡して「お大事に。」で終わる薬剤師ではなく、
量や種類が変わったことを伝えて、「気になることがあれば教えてください」と声掛けしてくれる薬剤師のいる薬局を選びましょう。
2-4.医師との連絡が取れていない薬剤師はおすすめしない
医師との連携がきちんと取れている薬剤師かどうかも重要なポイントです。
とくに頭痛薬、便秘薬、睡眠薬など、患者が体調を見て飲むか否かを判断する薬の場合、医師は“念のため”と多めに処方しがち。
その際、薬剤師が「服用後、どれくらい改善したか」「飲みきれなかった薬はないか」などをチェックし、必要に応じて医師に助言することが求められます。