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【薬剤師】【転職】病院薬剤師は激務、低い年収、夜勤もキツイ?

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かつて病院薬剤師は、外来患者に向けた調剤、製剤、薬品管理、医師への医薬品情報の管理が、業務のほとんどを占めていました。

しかし1990年代には、入院患者を中心にした病棟向けの仕事が導入されるようになります。

チーム医療の確立にともない、注射処方箋の調剤、患者への服薬指導、医療事故防止のための医薬品リスク管理、さらに新薬の治験業務の管理など、激務とも言えるミッションが病院薬剤師に課せられるようになりました。

臨床現場が医師を中心に形成されていることは変わりませんが、チーム医療における薬剤師の存在価値は徐々に高まっています。

解説薬剤師
解説薬剤師
あ、病院薬剤師が主役のドラマが始まりますね!
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病院薬剤師の仕事内容は激務?

激務仕事

病院薬剤師と薬局薬剤師はその名の通り、病院もしくは薬局で働く薬剤師のことをあらわします。

働く場所に違いがあるのはもちろんですが、求められる役割も大きく異なります。

ここでは、病院薬剤師の仕事内容をご紹介します。

病院薬剤師の特長①治験業務がある

治験とは、新薬の製造販売承認を得ることを目的とした、未承認薬の臨床試験のことです。

病院薬剤師のなかには、治験コーディネーター(CRC:Clinical Research Coordinator)として、治験責任医師や治験分担医師の指示のもと、治験の進行をサポートする薬剤師もいます。

治験スタッフと協力し、治験が適切に行われるようにサポートするだけでなく、被験者となる患者の相談に応じることも大切な業務です。

医師や看護師などの医療従事者や患者だけでなく、製薬会社の担当者とやり取りをすることもあるので、コミュニケーション能力が高い人材が求められています。

病院薬剤師の特長②救急救命業務がある

病院薬剤師の特徴のひとつに、救急救命業務があることが挙げられます。

救命救急センターをもつ大規模病院では、重症患者が次々に搬送されてきます。一分一秒を争う集中治療室(ICU)の中では、医師や看護師、救急救命士などの医療従事者が治療にあたりますが、救急救命の現場では、薬の誤判断は命取り。

薬剤師は医師の指示のもと、適切な薬や投与量、投与方法を迅速に選択し、薬の準備やチェックを行います。

また、常に必要な薬が使用できるよう、日頃から使用される医薬品の品質や在庫を管理しておくことも重要な業務です。

病院薬剤師が激務ってホント?

病院の薬剤部の場合、一般的な内科・外科的な疾患だけでなく、抗がん剤、抗菌化学療法用の薬剤、緩和医療用の薬物など、日常的に扱う種類は調剤薬局とは比較にならないほど多いです。

また、入院患者の服薬状況の把握に加え、重篤な副作用や相互作用、適正な血中濃度などの管理にも細心の注意が求められます。

大規模病院の薬剤部では、「調剤科」「製剤科」「補給科」「医薬情報科」「病棟薬剤科」など役割を細かく分けたり、手術室を中心に治療チームに加わる「サテライト薬局」など、専門性の高い薬剤師を育成し、配置するところも出てきています。

医師の処方箋に基づいた調剤や、疑義照会だけでなく、患者さんに対する薬学的なケア、問題点の把握、副作用のモニタリング、そしてそれに基づいた医師への処方提案や処方設計支援などのフィードバックまで、幅広くカバーしなければなりません。

病院薬剤師の魅力

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病院薬剤師の魅力として、次の2点が挙げられます。

  1. 薬学管理のプロとしてやりがいを感じられる
  2. さまざまな医薬品を取り扱うため知識や経験を得やすい

チーム医療では、医師・看護師・薬剤師などの多職種が、それぞれ専門性を発揮しながら最も効果的な治療法を検討していきます。

チームのなかで薬剤師に求められる役割は、薬物療法が安全かつ最大限の効果を得られるように症状・効果・副作用についてアセスメントすること

医師・看護師から頼りにされることも多く、「薬学管理のプロ」としての充実感を得られるという薬剤師が多いようです。

 

また、病院薬剤師は、調剤薬局やドラッグストアでは取り扱うことが少ないハイリスク薬に触れる機会にも恵まれています。

病院で扱う薬の例
  • 注射薬(抗菌薬、抗がん剤、循環器用薬……など)
  • 輸液(電解質輸液、栄養輸液など)
  • 検査薬や造影剤、麻酔薬など
  • 赤血球、新鮮凍結血漿、血小板などの血液製剤
  • アルブミン、γグロブリン、ワクチンなどの生物学的製剤
  • 院内製剤

さまざまな医薬品を取り扱える病院薬剤師は、日々の業務を通じて他の業種よりも幅広い知識や経験を得やすいと言えるでしょう。

病院薬剤師は夜勤(当直)がつらい

やりがいがあり、知識の習得という点でも魅力的な病院薬剤師ですが、病院ならではの大変さもあります。それは、「夜勤(当直)」です。

患者さん
患者さん
薬剤師って夜勤もある仕事なの!?
解説薬剤師
解説薬剤師
病院薬剤師はあるんです。

 

当直の業務は、「救急外来患者の調剤」「病棟の急変患者への投薬」「緊急手術時の麻薬の用意」などが挙げられます。

薬剤師は看護師に比べて配置人数が少ないため、病院によっては1人で当直をしなければならないケースもあります。

他の薬剤師のサポートがない状況で夜間の調剤や投薬に対応するため、肉体的にはもちろん、精神的にも負担の大きい業務です。

当直の人員体制や業務内容は病院によって異なるため、転職先の病院を検討する場合は、当直時の人員体制を必ず調べておきましょう。

病院薬剤師に向いている人、向いていない人の特長

激務なうえに夜勤まである病院薬剤師ですが、いったいどんな人に向いているのでしょうか?

1.病院薬剤師に“向いている人”の特長

患者に寄り添う医療スタッフの一人としての志を持っており、プロフェッショナリズムを高めていきたいと考えているなら、病院の薬剤部はぴったりの環境です。

専門薬剤師になるための学習材料や、OJT的な機会は職場にたくさん見つけられますし、豊富な経験や高度な知識を持った先輩、上司に出会うこともできるでしょう。

医師や看護師といった他職種との距離も近いため大きな刺激を受けることもできます。

2.病院薬剤師に“向いていない人”の特長

「プライベートを重視して働きたい」と考えているなら、病院薬剤師は向きません。

前述したように、心身ともにストレスが大きく、病院によっては、食事時間以外には息抜きをする時間がないところもあるようです。

それに、薬剤部内での連携に加え、ほかの医療スタッフとのやりとりに苦労することもあるようです。

 

病院で働くには、緊急事態に遭遇しても落ち着いて対処でき、医師や看護師など薬剤師以外のスタッフからの難しい要望にも気にせず応じられるぐらいの鷹揚さを持ち合わせている、といったことが重要なポイントと言えそうです。

病院薬剤師の収入は低い?

一般的に病院で働く一般薬剤師の年収は、薬局やドラッグストアと比べると低いのが現状です

都市部エリアで見ると、調剤薬局の平均年収が507.1万円、ドラッグストアは542.2万円なのに対し、病院勤務の場合は467.2万円。そのほかのエリアで見ても、どの職種でも30~60万円程度の収入差が生じています

 

ただし、これは年齢差を度外視したもの。

病院は、薬剤師の平均年齢が低いことが影響していると考えられます。

20代薬剤師が占める割合は、調剤薬局11.6%に対して病院は25.0%。若い薬剤師の多さが平均年収を押し下げている要因とも考えられるため、同年代の比較であれば、もう少し差は縮小されると思われます。

 

「薬剤師としての自分を高めるため、ぜひ病院で働きたい」と考えても、一般企業と同様、条件的に恵まれた職場には多くの就職希望者が来ます。

少しでも自分に合った職場を見つけるためには、薬剤師専門の求人・転職サイトをうまく活用することがコツです。

また、転職エージェントに登録すれば自分の希望に合致する求人を紹介してもらったり、キャリアについてアドバイスをもらうこともできます。

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病院への転職、それに将来の自分のキャリアパスを考えているのなら、まずは情報収集を始めてはいかがでしょうか。