鼻詰まりや鼻水は、風邪のときにもっともよくある症状で急性鼻炎と言われていますが、短い期間で治癒する急性鼻炎はともかく、数週間以上にわたって続く慢性的な鼻症状が日常生活に与える影響は大きいのです。
あまりにも長くつづくズルズル鼻だったら、OTC医薬品に頼らず『漢方薬』を処方してもらうのも一つの方法かもしれません。
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慢性的な鼻詰まり・鼻水の原因
鼻詰まりの原因
慢性的な鼻詰まり・鼻水の原因としては、アレルギー性鼻炎や慢性鼻炎、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)があります。

通年性の鼻詰まりでは、鼻中隔湾曲症、鼻腔内の腫瘍、ポリープ、子供のアデノイド腫脹などによる、物理的な鼻道閉塞の可能性があります。
これらは外科的な治療で大幅に改善することがあります。
鼻詰まりは、鼻水が鼻の奥に詰まっていたり、たまっているためと思われることがあります。しかし、実際には炎症などにより、鼻腔の粘膜が腫脹しているのが主な原因なのです。
鼻詰まりは、口呼吸、嗅覚の障害、味覚障害などを招きます。これらは、日常生活や睡眠の質を下げるなど、さまざまな悪影響をもたらすのです。
鼻詰まりのときって、ごはんの味分からないよね。
鼻水の原因

鼻水は、鼻粘膜から随時分泌されています。前に垂れずに鼻の奥からのどに垂れると、痰と勘違いされることもあります。
慢性的な鼻詰まり・鼻水の治療方法はさまざま
治療では、抗アレルギー薬、ステロイド点鼻薬で鼻粘膜の炎症を抑ええます。
鼻粘膜の腫脹軽減のために、血管収縮薬の点鼻が用いられるときもあります。症状が重く治療に効果が出ない場合は、レーザーによる粘膜焼灼や、鼻甲介切除で治療する方法もあります。
最近では、アレルギーそのものを軽くするアレルゲン免疫療法も保険で行えるようになっています!
ただし、抗ヒスタミン薬は、インペアード・パフォーマンスの問題が指摘されており、基本的に「自動車運転や危険を伴う機械の操作」などができなくなってしまいます。日常生活に車が欠かせない地域に暮らす方や、操作に注意が必要な機械などを扱う仕事に従事する方にとっては現実的ではありません。
また、アレルゲン免疫療法は数年がかりの地道な治療であるため、最後まで治療をつづけるのは容易ではありません。
鼻症状ごとに用いる『漢方薬』

水っぽい鼻水などの、冷えや水毒(体内の水分の代謝障害)による症状
冷えや水毒を伴う病態の鼻炎では、小青竜湯(しょうせいりゅうとう)、苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)がよく用いられます。
アレルギー性鼻炎に多いよ!
両者の構成生薬を比較すると、小青竜湯に含まれる8つの生薬のうち、麻黄(まおう)、桂枝(けいし)、芍薬(しゃくやく)が。苓甘姜味辛夏仁湯では、茯苓(ぶくりょう)、杏仁(きょうにん)に入れ替わった格好です。
麻黄、桂枝は、温めて力を発散する力がつよい、太陽病期(陽病のはじまり)に用いられる代表的な生薬です。
とくに、エフェドリン類の起源植物でもある麻黄を含むか含んでいないかでは、即効性にも影響する大きな相違点です。
また、冷えと水毒を強力に改善する附子(ぶし)は、エキスでも“附子末”として流通しており、小青竜湯や苓甘姜味辛夏仁湯に加味して用いられることがあります。
麻黄附子細辛湯(まおうぶしさんしんとう)は、附子と同時に麻黄を含む数少ない生薬ですが、肺を温める細辛も含んでおり、単独で用いられるだけでなく、小青竜湯と併用するような使い方をされることがあります。
スギ花粉などで強い目のかゆみを伴っている場合は、越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)が用いられます。
鼻詰まりや粘性の鼻水

副鼻腔炎などで、熱性の炎症が主体の鼻詰まりや粘性の鼻水には、辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)、荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)が用いられます。
副鼻腔炎がおおいよ!
さらに、副鼻腔炎のような慢性の炎症では、必要に応じて補気剤である補中益気湯(ほちゅうえっきとう)や十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)を処方される場合もあります。
腸内環境の改善でアレルギーが良くなる!?
建中湯(けんちゅうとう)類などの、腸管の状態を改善することが期待される方剤で、アレルギー自体が改善してくることが、とくに子供でしばしばあります。
最近では、腸管免疫や腸内細菌と体質の密接な関係が明らかになりつつあしますが、漢方には脾胃を改善する方剤が多数用意されています。
いかがでしたか?
呪文みたいな名前の漢方薬が多いので難しい内容だったかもしれませんが、漢方を処方されたことで効果が改善されるならうれしいことです。
長くつづく慢性的な鼻詰まり・鼻水で悩んでいたら、お医者さんか薬剤師さんに相談してみてくださいね。