こんにちは、めいたろ(@kusurino_ouchi)です。
女性のがんの罹患率(りかんりつ)でもっとも高いのが「乳がん」ですが、
女性ホルモンとがんの関係で驚くべきことが判明したのです。
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【男女別】がんの死亡率
最新のがん統計によると、2017年にがんで亡くなった人は37万3,334人(男性22万398人、女性15万2,936人)でした。
また、2014年に新たに診断されたがんは86万7,408例(男性50万1,527例、女性36万5,881例)でした。
このことから分かるのは、死亡者、罹患者(=病気にかかること)とも、男性が女性を大きく上回っているということです。

がんの罹患率について、上の図より54歳まで女性が男性より高い理由としては、乳房、子宮、卵巣などの女性特有の部位のがんが多いためです。
男女共有の部位については、いずれも男性の方ががんになりやすく、特に、口腔・咽頭、食道、胃、肝臓、喉頭、肺、膀胱、腎臓は、男性が女性より罹患率が高い結果がでています。
女性特有のがんのうち、女性ホルモンの一種、卵胞ホルモン(エストロゲン)の刺激によって増殖する、いわゆるホルモン感受性のがんが、乳がん、卵巣がん、子宮体がんです。
比較的若い層に多い子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)への感染が原因とされています。
女性ホルモンが、がんを予防?
一方、女性ホルモンが予防的に働いているがんもあり、肝臓がんはそのひとつだと言われております。
加齢とともに増加する大腸がんは比較的男女差が小さく、生涯罹患率では平均寿命の長い女性が男性に追いついていくという側面がありますが、女性ホルモンが予防的に効いていると考えられています。
肥満は大腸がんの原因の一つになりますが、女性では内臓脂肪が蓄積しても女性ホルモンが作られることで、それが予防に作用していると考えられており、肥満との関係性は男性と比べて小さいことが分かっています。
女性ホルモンと乳がんの関係

女性ホルモンと関係の深い「乳がん」について、詳しく見てみましょう。
日本の乳がん死亡率は、2017年で第5位となっていますが、罹患率では第1位となっています。乳がんは近年急増しており、多くの女性が罹患ののち亡くなっています。
乳がんの原因は?
乳がんの原因についてはまだ十分に分かっていませんが、日本人で乳がんが増えている背景として、
- 女性の初経年齢が早まって閉経が遅くなったこと
- 晩婚化、少子化で出産経験がない、または少なくなったこと
があげられます。
これらに共通しているのは、
乳腺細胞が女性ホルモン(特にエストロゲン)にさらされている状態が長い期間に及ぶということです。
例えば、
妊娠中はエストロゲンが高濃度になるため、できていたがん細胞が細胞死を起こすのではないか。あるいは、エストロゲンに拮抗する作用をもつ黄体ホルモンも多く分泌されるからではないか、などと考えられています。
母乳育児で乳がんのリスクが下がる

母乳を長期間与えることで、母親の乳がんリスクが低くなるという研究結果が数多くあります。
これまでに日本において実施された疫学研究の結果から、授乳が乳がんリスクを低下させる可能性があるとされているのです。また、国際的にも授乳の乳がん予防効果は確実視されています。
初経年齢が早いことや、初産年齢が遅いことなどは、乳がんリスクを上げる要因ですが、
出産後になるべく母乳で育てることは、子供のためになるだけでなく、母親の乳がんリスクを低下させることにも期待できます。
ホルモン補充療法が乳がんリスクを上げる
女性は、更年期を迎える前後から、エストロゲンとプロゲステロンの分泌量が急激に減少し、これに伴って、のぼせ、発汗、肩こり、頭痛、不眠といった様々な症状が現れます。
特に、エストロゲン減少の影響が大きく、これらのホルモンを錠剤や経皮吸収型製剤などによって外から補っていくのが「ホルモン補充療法」と言われる治療です。
ホルモン補充療法の実験結果
閉経後5年以上にわたって、女性ホルモンを投与するグループと、投与しないグループを比較したところ、
女性ホルモンに関係している乳がんは、投与したグループの方が明らかに罹患率が高いことが分かったのです。
これは、外因性のホルモンは、内因性のホルモンに比べて、量が多いものを長期にわたって使用することが発がんリスクにつながるとされています。
イソフラボンで乳がんリスクを下げる?

閉経後の女性では、大豆などに含まれるイソフラボンの摂取量が多い人ほど乳がんの発生リスクが低下するという結果が得られ、
最大70%のリスクが低下するそうです。
なぜイソフラボンなのか
イソフラボンは、化学構造がエストロゲンと類似しています。
このため、イソフラボンが乳腺細胞のエストロゲン受容体に競合的に作用し、エストロゲンより先回りして結合することでエストロゲンの作用を弱め、
これが乳がんリスクを低下させるのではないかと見られています。
また、イソフラボンは男性においても、前立腺がんの発がんリスクを下げるとする研究報告もあります。
食事から栄養を摂ろう
これらの栄養成分は、食品から摂取することが望ましく、サプリメントはあまりおすすめできません。
というのも、サプリメントだと必要以上に過剰に摂取してしまう恐れがあり、食事では経験がないような血中濃度をもたらしかねないためです。
日本では、大豆イソフラボンの摂取量上限が、1日70~75mgとされており、
豆腐半丁に値する量だとされているので、覚えておくといいでしょう。