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「働き方改革」で仕事が楽になった人は10%未満!?働き方改革における企業や社員のメリット・デメリットとは?

働き方改革

2019年4月1日より、働き方改革関連法案の一部が施行され、企業においても個人においても、働き方に対する考えが少しずつ変わってきました。

「働き方改革」は、大企業だけでなく中小企業にとっても重要な経営課題の一つとして認知されており、個人は柔軟な働き方を求め、会社に選ばれるのではなく、会社を選ぶ側になりつつあります。

 

ですが、働き方改革もメリットばかりではありません。中には、「働き方改革が施行される前の方が良かった」という企業や社員の声もあり、約90%の企業が「わが社の働き方改革は失敗」と答えています。(講談社より)

労働環境の見直しのはずが、なぜ90%もの企業が失敗を感じているのでしょうか?

働く場所を選ぶ権利のあるわたしたちにとって今は、どこも働きにくい環境なのでしょうか?

働き方改革とは?

働き方改革

労働人口の減少による労働力不足や、売り手市場で人材確保が難しい現在、労働環境が厳しければ離職する人も増え、企業が継続困難に陥りやすい時代になりました。

企業がいかに社員が長く働きやすい環境を作るかが重要視されており、女性の職場進出や高齢者の活用、個人のニーズにあわせた働き方を提案、実現しようとしています。

このように国をあげて労働環境の見直しを図る政府の施策を「働き方改革」と言います。

例えば、働き方改革で残業時間が短くなり、帰宅後は自分のことに集中したり、ダブルワークや副業が可能な会社もあります。

働き方改革のメリット・デメリット

会社側のメリット

労働生産性があがる

労働時間が短縮されることで、従業員の集中力が高まり、生産性の向上が期待できます。

国にとって働き方改革の最終的な目的は、労働生産性を向上させ日本経済の成長を促すことなので、国にとっても会社にとってもプラスになると考えられます。

 

ダン・アリエリー著の「予想どおりに不合理」という本のなかには、大学で課題で出された3つのレポートそれぞれの提出期限を、あらかじめ設定したクラス・生徒に設定させたクラス・まったく設定しなかった(学期末までに提出すればいつ出してもいい)クラスに分けて行った実験が紹介されており、

その結果、一番成績がよかったクラスは、あらかじめ3つのレポートの提出期限が決められていたクラスだったといいます。(INSIGHT SHAREの記事より)

 

これを仕事に置き換えてみると、残業時間の上限がない場合よりも、上限規制がある場合の方が、時間内に業務を終わらせる必要が出てくるはずです。

その結果、前述した本のなかで紹介された実験のように、生産性が高まる(成績がよくなる)可能性が考えられるのです。

 

余計なコスト削減

もちろん労働時間が減少すれば、余分な残業手当等を支払う必要がなくなり、人件費等の削減につながるといった、会社にとっては嬉しいメリットもあります。

それだけでなく、従業員が柔軟な働き方ができる先進的な取り組みを行う企業として、求職者へのアピールにもつながります。

育児や介護との両立で、やむをえず仕事を辞めなければならない優秀な社員の離職防止にも活用できそうです。

社員側のメリット

自分の時間を作れる

働く側のメリットは、自分の時間を作れるという点です。

国が行う働き方改革では、長時間労働の是正に焦点が当てられています。

大企業では2019年4月から、中小企業では2020年4月から「時間外労働の上限規制」が導入されることとなります。

これは原則として、時間外労働の上限を月45時間・年360時間にするというもので、前述した時間を超えて労働をさせる場合、所定の書類を労働基準監督署長に届け出る必要があります

 

毎日夜遅くまで残業で会社に残っている人は、ゆったりお風呂に浸かる時間や眠る時間、趣味の時間など、自分のライフスタイルにあわせた生活を送ることができるようになります

それによって心身のストレスも減り、仕事への集中力が高まることで、生産性も改善するとされています。

会社側のデメリット

1.利益が出にくい場合も

労働時間の短縮は、従業員の生産性を高める可能性がある一方で、仕事がスケジュールどおりに完了できない可能性も出てきます。

労働時間の短縮により、本来であれば1週間で終わる業務が、2週間、3週間とかかるようになれば、利益を得る機会を遅らせてしまう可能性もあるのです。

2.受託会社・下請けが苦労する

事業会社ならまだいいとして、受託会社にとってはどれだけ多くの案件を早期にこなすかが、利益に直接関係してきます

労働時間が短くなれば回せる案件数も少なくなるため、その分の利益の減少が考えられるでしょう。

3.人件費高騰によるデメリット

人件費が高騰するのもデメリットです。

これまで非正規雇用者は正規雇用者に比べて人件費が抑えられていましたが、同一労働同一賃金になれば、非正規雇用者の人件費が増えるので、トータルの人件費が増えてしまいます。

このように費用負担が増えたり、一部の人への負荷が高まったりしてしまうのが企業側のデメリットといえます。

社員側のデメリット

1.総賃金が大幅ダウン

働き方改革により残業時間に上限が設けられたことで、会社によっては仕事を家に持ち帰らなければいけなくなり、プライベートにも仕事が侵食するといったデメリットがあげられます。

労働時間が減ることを考慮してスケジュールを伸ばすなどの対策が必要になりますが、IT系の会社などは簡単にスケジュールを伸ばすことは難しいでしょう。

また、取引先との仕事を伸ばしつづけることも難しいので、会社で残業できないなら家に持ち帰るというケースが起こってしまうそうです。

2.総賃金が大幅ダウン

大手企業に勤めている社員が、働き方改革で一番打撃を受けているのが、総賃金が大幅に下がったというケース。

残業が出来なくなったことで、これまで支給されていた残業手当が大幅に減り、総賃金が何十万と下がった人は少なくありません。

会社でできない仕事を家でこなし、給料も何十万と下がるとなると、どれだけ同じ会社に長く勤めていた人でも割に合わなければ転職も考えることになるでしょう。

3.業務を完了できない精神的ストレス

前述で、「労働時間が減ることを考慮してスケジュールを伸ばすなどの対策が必要」と書きましたが、労働環境が整っていないと、これをさせてもらえない企業もあります。

いままでは残業で何とかこなしていた膨大な仕事量を、業務時間内に大量の仕事を終えなければならないので、精神的ストレスがかかります

労働時間が減ることを考慮してスケジュールを伸ばす、もしくは、従業員の仕事量を減らすことも、今後の働き方改革の重要課題になっています。

 

働き方改革における企業の課題とは

働き方改革

働き方改革を行うためには、人材の確保や賃金アップによる費用負担増にも耐えなければなりません

従業員の労働時間を減らし、その分ほかの人を雇う。大企業ならば可能かもしれませんが、中小企業では費用負担が増えるのも問題になります。

結果的に、中小企業の多くが働き方改革を行えない状況になっています。

 

また、社員側のデメリットにも記述したように、仕事時間は減るが仕事量が減らないという問題も大きく残っています。

結果として会社で仕事をする時間は減ったものの、自宅に持ち帰って仕事をするというケースが増えているのです。

 

会社としては費用負担が増えないので良いともとれますが、労働者のワークライフバランスが乱れることで生産性が低下してしまうリスクもあるため、今後は、働き方改革と一緒に業務の進め方の改革も必要となっています。

働き方改革を成功させるにはどうすれば良いのか?

働き方改革

会社には、上からしか変えられないこともあれば、下から変わっていくものもある。それは確かです。ただ、「改革」といわれるような大きな変化を実行するには、「下からのニーズを取り入れながらやり方(HOW)を設計し、トップが断固たる意志をもってこれを実践する」しか、成功はあり得ません。(INSIGHT SHAREの記事より)

実際、「働き方改革に失敗した企業の三分の一は、経営者が途中で改革を阻止した」という調査結果もあります。

経営陣が本気になって働き方改革に対して取り組む覚悟があるかが、必要条件と言えます。

働き方改革 まとめ

働き方改革にはまだまだデメリットが目立ちますが、取り入れ方や考え方によっては、企業にとっても従業員にとってもメリットがあり、良い職場環境を創るきっかけに確実になりました。

今後は、働き方改革を通して業務の進め方を見直すことが必要になってくるでしょう。

 

働き方改革は、自分たちが当たり前と思っていた業務の進め方を見直す良いチャンスともいえますね。