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企業看護師(産業看護師)とは?
看護師は一般的に病院・クリニックなどに勤務しますが、それ以外の職場として一般企業があります。
企業勤務の場合、一般企業に設置された医務室(企業内診療所)や健康管理室に勤務し、従業員の健康管理をメインとした様々な業務を行います。
従業員数や会社の風土によって異なりますが、ここでは企業で働く企業看護師の一般的な仕事内容について解説していきます。
企業看護師のメリット・デメリットは?
企業看護師になるメリットとデメリットを紹介します。
企業看護師のメリット
- 日勤のみ
- 土日祝休み
- 体力面の負担が少ない
- インシデントに対する精神面の負担が少ない
産業看護師は会社員として働くため、「日勤のみ」「土日祝日が休み」という職場がほとんど。夜勤がないので、朝に起きて夜に眠るという規則正しい生活が送れます。
また、デスクワークも多いので、体力面の負担が少ない点もメリットのひとつ。難しい処置を行わないため「医療ミスやインシデントを起こしてしまうかも・・・」という精神面のストレスも少ないです。
企業看護師のデメリット
- 求人数が少ない
- 病院に復帰しづらい
- 看護技術が落ちる可能性
産業看護師は人気が高いため、求人数が少ないです。また応募者殺到を避けるために非公開求人※になることもあります。
非公開求人とは、企業のWebサイトや転職サイトなどで、一般に公開されていない求人情報です。どのようなポジションで人を募集しているのかを普通の人は知ることができません。こうした非公開求人は、転職支援サービスを行っている、一部の転職エージェントが情報を把握しています。
出典:マイナビエージェント
企業看護師(産業看護師)の転職・就職は難しい?
企業内診療所勤務の看護師求人は、企業看護師の中でも特に人気が高いです。
そのため、応募の殺到を防ぐために約9割以上の求人が看護師専門の転職サイトの非公開求人として扱われています。
ハローワークなどの一般向け求人媒体で求人が見つかる可能性は、ほぼゼロに近いです。
求人探しは、企業の看護師求人に強い転職サイトへ登録するところからスタートする必要があります。
企業看護師は資格が必要?
企業看護師になるには、特別な資格は必要ありません。
しかし、「第一種衛生管理者免許」または「保健師資格」の、いずれかの資格を持っている方が採用に有利というのも事実です。
その理由は、50人以上の企業では、衛生管理者と呼ばれる専門者を1人以上専任しなくてはならないと労働安全衛生法で定められているためです。
保健師資格を持っていると、衛生管理者の試験を受けることなく、第一種衛生管理者の免許が与えられます。
しかし、第一種衛生管理者の免許を取得している産業医が就いている企業がほとんどのため、看護師が第一種衛生管理者の免許を取得しないと、産業看護師として働く事ができないわけではありません。
そのため、必ず必要な資格ではないので安心して下さい。
未経験・新卒でも企業看護師になれる?
企業で働いている看護師の多くが、実務経験が豊かな人材だと思われがちですが、未経験での採用を行っている企業もあるということを知っておいて下さい。
事実、企業看護師として働いている方の前職は様々で、看護師として病院勤めだった方もいれば、行政保健師として保健所勤務だった方もいます。
また、応募する企業によっては、専属の産業医がいるのか、いないのかなど状況は様々です。そのため、「看護師資格だけではダメ」、「臨床経験の少ない保健師ではダメ」といったような縛りもなく、採用する企業側の意向によって採用条件は異なります。
大事なのは、企業によって採用を決めるポイントが異なるということです。
つまり、自分にはアピールポイントが少ないという看護師や保健師の方でも怯えることはありません。
ブランクがあり企業看護師になりたい場合
ブランクが短い場合
企業看護師になるにはある程度経験が必要ですし、一般的な看護師に比べて高い知識が必要になるので、ある程度ブランクがある人は心配するでしょうが、短いブランクであれば特に心配する必要はありません。
大体10年未満のブランクで、10年以上経験があれば問題なく採用してくれる企業が多くなっているのですが、倍率が高くなる可能性が高いので、できれば何か資格を取得しておくことをおすすめします。
ただし、いくらブランクが短いとは言っても、経験が短いようではやはり採用してもらうのが難しくなるので、正社員ではなく紹介予定派遣で復職する方法がベストです。
紹介予定派遣であれば経験が浅くてブランクがあっても、採用してもらえる可能性は十分あるので、初めから諦めてしまうのではなく、いろいろと対策を練って復職する意欲を高めていきましょう。
ブランクが長い場合
子育てや介護などでブランクがとても長くなってしまった場合、特に10年以上ブランクが空いてしまったという場合には、やはりブランクの短い人に比べたら、企業看護師としていきなり復職するのは難しくなるのですが、このような時にもしっかりと対策を立てることで、復職が可能になります。
もちろんブランクが短い時に有効的な資格の取得や紹介予定派遣で復職する方法も有効的です。
企業看護師は、医療行為のような技術よりも、産業保健などの専門知識の方が大切になるので、セミナーや研修会などを受講してから復職する方法が有効的です。
面接の時にも、復職するためにセミナーを受けてきたと言えば、この人は復職したいという意欲があると思うので、好印象を与えられるでしょう。
研修会やセミナーにもいろいろな内容があるので、企業看護師として仕事をする時に役立つような内容でなければ意味がありません。
以前にも企業看護師として働いた経験があるのであればまだしも、復職する際に初めて企業看護師として働くのであれば、書籍を購入して企業看護師の仕事内容もしっかりと理解しておく必要があります。
企業看護師に必要なスキルは?
1.ビジネスマナー
病院との最大の違いは必ずしも異常を抱えている人を相手にするとは限らないこと。
とくに精神面の悩みを抱えている従業員に関しては慎重な取扱いが必要となります。本人のプライドを尊重し、仕事のモチベーションを奪ってしまうような接し方は避けなければなりません。
また、職場の不満や愚痴を従業員から聞いた時には他の人に洩らさないようにすることは当然のことですが、その不満や愚痴が労働環境の問題点と関わっている場合には企業に対して環境の改善を求める役割も求められます。
その際にも当然、不満を口にした従業員の名前を企業側に言わない配慮が必要です。
企業看護師だからといってとくに気をつけなければならない特殊なビジネスマナーはありません。
あくまで社会人の一員として振る舞えばとくに問題はないでしょう。
ただ、従業員の信頼を得て、職場全体の健康状態を改善させるためには一般的なビジネスマナーを一歩超えた配慮が求められます。
看護師としてのマナーと社会人としてのビジネスマナーをうまく組み合わせて環境に対応していく努力が求められそうです。
2.パソコンのスキル
ワードやエクセルといった事務に関するパソコンスキルは勿論有利です。なぜかというと、健康管理の業務上、データ管理の仕事も担うことが多いためです。
必須なわけではありませんが、企業によっては「ワードやエクセルのスキルはある?」などと面接時に質問されることもあるかもしれません。
もし、パソコンのスキルが多少でもあるのであれば、自分のアピールポイントとして積極的にアピールすることをおすすめします。
おわりに
看護師資格は一般の企業でも活かすことができます。
企業の医務室で働く看護師、新薬開発のために働くCRCやCRA、営業を支援するクリニカルスペシャリスト、看護師の知識を活かせるコールセンターなど。看護師の活躍の場は幅広いです。
企業の医務室は社員の健康管理を担う職場。CRCやCRAは新薬開発のやりがいを感じられる仕事です。病棟で働く看護師とは違う形で、医療に携わります。
クリニカルスペシャリストは、人前に出ることが得意な人におすすめ。コールセンターは体力面の負担が少ない職場で、看護師の知識や経験を活かしたい人に向いています。
今とは違う働き方や仕事をしたい人は、看護師資格を活かしたキャリアチェンジを検討してみましょう。