看護師という、人の健康や命に係わる仕事についた以上、その大変さや労働時間の長さ、ライフバランスの乱れなどから、「もう辞めたい」「看護師に向いてない」と考える方は少なくありません。
実際に、看護師は離職率や転職率の高い職業で、絶えず多くの病院が求人を出しているため、一般企業よりは転職で苦戦することはないでしょう。
では、看護師が転職を考えるのにはどんな理由があるのでしょうか?
今回は、厚生労働省の調査による資料のデータ(※下記で紹介)をもとに、看護師の方が一度は経験する「転職を考えた理由」について紹介したいと思います。
看護師を続けたい人も、辞めたい人も、どちらの背中も押せるよな内容になっています。また、ご自身の転職先選びにも役立てることができるかもしれません。
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看護師が転職を考えた理由で多いのは?
平成23年3月31日に公表された、厚生労働省「看護職員就業状況等実態調査結果」によると、看護職員として退職経験のある人に質問した退職理由では、以下のような回答が多く集まりました。
1位 出産・育児のため(22.1%)
2位 結婚のため(17.7%)
3位 他施設への興味(15.1%)
4位 人間関係がよくないから(12.8%)
5位 超過勤務が多いため(10.5%)
6位 通勤が困難なため(10.4%)
7位 休暇がとれない・とりづらいため(10.3%)
看護師の割合は9割が女性ということで、出産や育児などのやむを得ない理由での転職が上位に来ていますが、
4位の「人間関係がよくないから」や、5位の「超過勤務が多いため」、7位の「休暇がとれない・とりづらいため」などの理由も目立っています。
ランキングには載せていませんが、「責任の重さ・医療事故への不安があるため」という回答も、9.6%の割合で集まっており、この理由で転職する方はおそらく診療科や医療機関を変えることで対処しようとしていると考えられます。
さらに下の順位では「給与に不満があるため」「夜勤の負担が大きいため」などの理由が挙がっています。
ライフスタイルの変化による転職だけでなく、勤務先の病院での人間関係、満足のできない給与、責任が重くなり精神的負担が大きいなど、本人の事情で転職を考える人の割合もかなり多いことが分かります。
看護師を辞めるデメリットは?
1.ビジネスマナーを1から習得する必要がある
看護師を含めた医療ビジネスの世界は一般的な企業とちがい、マナーや慣習についても独特です。
そのため、長年看護師として働いている方でも、一般的なビジネスマナーを身につけることはできません。
看護師から他職種へ転職する方の場合、挨拶やメールの文面などのビジネスマナーを初めから習得する必要があるため、初めの1,2年は苦労する可能性も。
2.給料が激減する
看護とはまったく関連のない職業に転職した場合、資格を活かすこともできないため、収入が減ることがほとんどです。
ライフバランスや働き方は見直せても、収入が減ったことで浮いた時間に使えるお金がない…ということになりかねません。
結局、給与に満足できず看護師に再就職する人も多いため、他職種に転職したいと考えている方は、給与や賞与、昇給を確認しておくことが大切です。
3.看護師の仕事は好きだが仕方なく辞めた場合
出産や育児、介護などのやむおえない理由での転職の次にもっとも高かった、人間関係による転職や、待遇の不満などで転職した場合を指します。
看護師の仕事とは全く関係ない理由で辞めてしまう場合、「看護師という仕事自体嫌いではないのに辞める」ということになります。
このような人が看護師を辞めてしばらく経つと、大抵の人が看護師という仕事への未練が生まれてきます。
一旦は看護師を辞めたものの、比較的短いブランクで復職する人も多いように、看護師の仕事自体が好きな方は、辞めることはデメリットになり得ると考えてよいでしょう。
「再就職先を選んだ理由」で多いのは?
厚生労働省「看護職員就業状況等実態調査結果」において、看護職員としていったん退職し、1~10年以内に再就職した経験のある人に質問した「再就職先を選んだ理由」では、以下の回答になりました。
1位 通勤が便利だから(56.5%)
2位 勤務時間が希望にあっているから(51.0%)
3位 短時間勤務ができるから(20.4%)
4位 休暇がとりやすいから(15.6%)
5位 人間関係がよいから(11.2%)
2位の「勤務時間が希望にあっているから」の回答が、半数以上の割合を占めていること、それ以下の回答でも「短時間勤務ができるから」「休暇が取りやすいから」という回答の割合が高くなっていることから、
転職をする際に重視しているのは「勤務時間」や「休日」が自身の希望と合っているかどうかであることが分かります。
特に、出産・育児、介護などで転職する方の場合は特に、勤務時間が希望と合うかどうかは重要です。
自身のライフスタイルと照らし合わせてみて、無理がないかどうかは転職を考える際にじっくり考慮する必要があるかもしれません。
看護師を続けないほうが良い人と、続けたほうが良い人の違い
看護師を辞めたいと考えている人のなかにも「とりあえず今は辞めたほうが良い人」と「辞める必要のない人」がいます。ここでは、看護師を一旦辞めるべき人と、続けるべき人の違いについてご紹介します。
1.看護師をひとまず辞めたほうがいい人
- 夜勤や連勤で体調不良が続いている
- 強いストレスで精神的に病んでしまった
- いじめや無視、パワハラを受けている
- ブラックな職場で激務
- 低賃金で働かされている
これらに当てはまる場合は、看護師を一旦辞めて、休養などを考えたほうが良いでしょう。
休養することで健康状態が回復すれば、また看護師の仕事へ戻ることも難しくありません。
2.看護師をもう少し続けたほうがいい人
- 経験が浅いのに向いていないと感じてしまう人
1年や2年の経験では、その仕事への向き不向きは簡単に判断できません。
とりあえず3年は頑張ってみると決めれば、何らかのやりがいを感じられる出来事や結果がついてくるのではないでしょうか?
職場環境にも恵まれており、よほどの心理的負担を感じていない限りは、これまで通り仕事にあたって少しずつストレスを解決していきましょう。
看護師を辞める前に、試して欲しい3つのこと
看護師を辞めたいと思うことは、多くの看護師さんが経験するごく普通の出来事です。
しかし、それでも辞めたい気持ちが強くなって精神的につらいと感じることが多くなった場合は、ここでご紹介することを試してみてください。
- 病気や体調不良の場合は、休職して心身を休める
- 上司や同僚、友人や家族に相談してみる
- なぜ辞めたいのかを考え、自分が看護師になった理由と照らし合わせる
体調不良を理由に辞めたい場合は、休職できるかどうか確認しましょう。仕事を休んで心身をリフレッシュさせることで、心身の健康状態が回復するとともに、仕事に関する考えを考え直す時間もできます。
自分一人だけで悩まず、第三者に相談することも大切です。「こんなにつらいのは自分1人だけ」と思い込みがちですが、看護師をしている人ならとくに同様の悩みを抱えているでしょう。
共感してくれる仲間が他にいることが分かるだけでも、今後のモチベーションにつながります。
さいごに、「看護師の仕事自体は好きか嫌いか」を冷静に考える方法もあります。何年も勉強してやっと看護師資格を取ったことなどを思うと、安易に辞めてよいものなのか考えなおす機会が得られるかもしれません。
まとめ
今回は、厚生労働省の調査結果から、看護師が実際に転職を考える理由や、再就職する際に大切にしたポイントについて紹介しました。
看護師を辞めたいと考える理由は、人によってさまざまですが、だれもが1度は考えること。悩んでいるのはあなただけではありません。
誰にもできる仕事ではなく、せっかく国家資格を勝ち取ったのですから、できるだけ長く続けることに越したことはありません。
あなたに合った働き方、仕事の乗り切り方を見つけてくださいね。