体がだるい時に優しい声をかけてくれたり、入院中は身の回りの面倒を見てくれる看護師さんは、体調の悪い患者側からすると、
まさに「白衣の天使」。
看護師さんの励ましの言葉や笑顔に救われている患者はたくさんいますが、看護師さんの笑顔の裏には多くの苦労があります。
ここでは、実際に活躍している(していた)看護師さんが、どのようなシチュエーションでストレスを感じているのかをご紹介します。
Contents
看護師がストレスを感じる瞬間
1.「人間関係」や「対人関係」のストレス

■職場の人間関係をストレスに感じている人が多い
看護師は、9割が女性という職場環境であり、20代~60代くらいまでの価値観が異なる年齢層の方が集まります。
小さなミスが患者の命に関わる可能性があったり、日々責任の大きい仕事をこなすなど、そういった仕事柄か「性格や言い方がきつい人」、「せっかちな人」、「ネチネチと陰湿な人」が多いと言われています。
職場内の上下関係では、先輩や上司に理不尽なことを言われても我慢せねばならない場面が多かったり、勤続年数が4~5年にもなると、先輩と後輩の板挟みになることもあります。
そうした環境でチームプレイをしていかなくてはいけませんし、医療の現場はちょっとしたミスが重大な事故につながってしまう可能性があるため、こうした環境が、看護師の職場の人間関係を複雑にしています。
■患者やその家族がストレス…
職場内の人間関係だけでなく、患者やその家族に悩まされる看護師も多いようです。
例えば、病棟では、入院患者やその家族に文句を言われたり、セクハラ発言や行動を受けるなど、職場の人間関係とはまた別のストレスを受けることがあります。外来では、採血が下手だと非難されたり、ちょっとしたことでクレームをつけられたりする場合があります。
医療という大きくプレッシャーがかかる仕事において対人関係でつまづくと、仕事もスムーズに進まなくなる可能性があるだけでなく、責任感の強い人ほど自分を責めるため、精神的な病気にかかる可能性が高くなります。
看護師は医師と患者の間に立って交渉したり、全体が協力し合って仕事を進める必要のある職業ですから、人間関係の摩擦などには敏感になりやすいのかも知れません。
2.肉体疲労のストレス

看護師が、人間関係と同じくらいストレスに感じているのが、肉体疲労のストレスです。
看護師として働く方の多くが日勤と夜勤の交代勤務という不規則な勤務形態であるだけでなく、一日中立ちっぱなしであったり、こなさなければならない業務が多いため時間管理が必須であったり、生死に関わる非常に責任のある業務であっても冷静な判断を求められるなど、心身ともに非常にストレス強度の高い職種です。
一般人とは違う生活のリズムでも、慣れてしまえば平気という方もいるようですが、疲労の溜まり過ぎは不眠症を引き起こす原因ともされます。
ホルモンバランスなどが崩れ、体は眠ろうとしているのに脳は冴えているような状態に心当たりはないでしょうか?看護師の中には常にそういった状態にある人が多くいるようです。
3.実力不足によるストレス

自身の看護スキル不足や、看護に時間がとれない職場環境が原因となって、実力不足を感じることが重なると、「患者さんに負担をかけているのでは?」という不安が生まれ、精神的なストレスとなります。
周りや患者に迷惑をかけまいと、休日も自己啓発のために勉強をすることは自己成長につながるかもしれませんが、仕事プライベートの差が付かなくなり、心が休まる時間が少なくなってしまうため、精神的なストレスとして蓄積します。
精神的なストレスがたまると、からだが重く疲れやすくなったり、食欲がなくなったり、不眠で寝付けないなど、肉体へと影響していきます。
それが原因で日常の業務に集中ができなくなりミスを起こしてしまい、「なんでわたしは出来ないんだ」と余計に力不足を感じて自分を責める悪循環に陥ります。次第にうつ状態へと入っていくケースも十分に考えられます。
4.仕事量が多い

診療の補助や療養上の世話、時には看護師がやる必要のない雑用までやらされたりと、看護師は仕事の範囲が広く一人で背負う仕事量も多いため、かなりの激務と言えます。
もちろん、経験を積むことで慣れる部分もありますが、働く年数が長くなるほどリーダーや役職がついて責任の大きい仕事を任されるため、「長く働いているのでラクになる」ということもありません。
看護師一人の仕事の負担が多い理由には、看護師の人手不足と大きく関わっています。
日ごろの膨大な量の仕事などが原因で蓄積されたストレスは、仕事外のプライベートの時間で好きなことをしたり睡眠をとるなどして、上手くストレスを発散することが重要なのですが、なかなか有給や休みが取りづらいといった難しさもあるのです。
5.給料が少ないストレス

白衣の天使「看護師」と言えば、女性の仕事の中では高給与と言われていますが、実はそうでもありません。
看護師の20代は、労働者全体の平均と比べて給与が高いというデータもありますが、厳密には、夜勤手当が入って総支給が上がっているのであって、基本給は平均並みとされています(参考記事)。
そのため、夜勤をしない場合には、他の職種よりも給与が低い場合もあるのです。
看護師の多くは「仕事量に対してもらえるお金が見合っていない!」と、ストレスを感じています。