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日光浴は身体に悪影響?皮膚がんや白内障になる可能性があった

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7月は本格的に紫外線が気になりだす季節ですよね。

太陽の光を浴びることは体にとって良いことですが、紫外線の浴びすぎは、皮膚がんや白内障などの病気を引きおこす原因にもなります。

どうして紫外線を浴びすぎると身体に害なのか?また、どのようにして紫外線を予防すればよいのでしょう?暑い夏が本格的に来る前に、知っておきましょう。

1.紫外線の種類

自律神経

紫外線は春先から増え始め、5月から9月ごろまで日差しが強くなるにつれて、紫外線が多い状態が続きます。

紫外線とは、太陽光線の一種で太陽から地球上に届いている光のひとつです。太陽光線には赤外線や可視光線、紫外線などがありますが、そのほとんどが酸素やオゾンに吸収されてしまい、わずかな光が地表に届いてきます。

私たちに影響を及ぼす紫外線には3つあり、波長の短いものから UV−C、UV−B、UV−Aをあげることができます。

私たちの体に影響を与える紫外線

紫外線 A(UV-A) UV-B ほどの急激な変化を起こさないが、UV-B の 20 倍以上の量が地表に到達し、肌の奥深くまで到達する。私たちが浴びる紫外線のほとんどはこの紫外線 A(UV-A)。
紫外線 B(UV-B) 大気層(酸素やオゾン層など)によってほとんどが吸収されるが、一部が地表に到達し、皮膚の細胞などにダメージを与える。
紫外線 C(UV-C) 大気層(酸素やオゾン層など)に吸収され地表に到達しない。

2.紫外線が身体におよぼす影響

紫外線は、私たちの皮膚や目、免疫機能に影響を与えるといわれています。紫外線が関係
していると考えられる病気は、急性期の病状と慢性期の症状に分けることができます。

2-1.急性期の病状

①日焼け(急性期)

日焼けには、サンバーン(sun burn)サンタン(suntanning)の2種類があります。

日焼けをすると、まず肌が赤くなり、皮膚がやけどを起こした状態(サンバーン)となり、その後、黒くなります(サンタン)。

紫外線を浴びすぎると、水泡となって皮がむけますが、これは紫外線Bによるものです。また、肌を褐色にするサンタンは、紫外線Aが引き起こします。

②雪目

強い紫外線を浴びると、目が充血して紫外線角膜炎などの急性障害を引き起こすことがあります。

③免疫機能低下

紫外線は免疫力を低下させ、感染症などの病気にもかかりやすくなるといわれています。皮膚は外からの侵入物に抵抗するという重要な役割をもっていますが、皮膚が紫外線を浴びたことで免疫力が低下すると感染症にかかりやすい状況になります。

口唇や口角にできるヘルペスは免疫機能が低下した結果と考えられています。

2-2.慢性期の症状

紫外線を長年にわたって浴び続けると、約20~30年かかって身体にさまざまな影響がおこります。

皮膚に対する障害と、目に対する障害がもっとも多いですが、このような慢性障害は、悪くなっていく実感がないため注意が必要です。

 

皮膚に対する障害

口呼吸

紫外線は肌をくすませ、皮膚の弾力を衰えさせます。その結果、老化現象としてみられるシワと異なり、日光があたるところは深い溝が目立つようになります。

また、女性の天敵であるシミは、日焼けにより色素細胞がつくるメラニンの量が増加すると目立つようになります。

前がん状態である日光角化症では、淡い色や紅色のシミのようなものが目立ち、悪性黒子ほくろでは比較的大きなシミが少しずつ大きくなります。

さらにこれらの紫外線が関係した皮膚障害は前がん状態から、次にあげる悪性腫瘍へと進んでいく危険があります。

①悪性黒色腫(メラノーマ)
色素細胞のがんで最も悪性度が高いと考えられています。
主に日焼けをしやすい白色人種に発生しやすいといわれてはいますが、私たち日本人にも比較的見られる皮膚がんであり、皮膚がんによって亡くなる人の約80%がこのメラノーマによります。

②基底細胞がん
お年寄りに発症しやすく、皮膚の下にある筋肉や骨にまで深く侵入すると恐れられています。
ほとんど転移はせず、亡くなる人も少ない病気です。

③有棘細胞がん
悪性度は悪性黒色腫と基底細胞がんの中間で、ほかの臓器やリンパ節へ転移することがあり、しこりや潰瘍かいようができる皮膚がんです。

 

目に対する障害

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紫外線による日焼けを気にしている人は多いものの、目への影響を気にしている人は意外と少ないのではないでしょうか?

日傘をさしていても路面での反射などによって、目はあらゆる角度から紫外線を浴びている恐れがあります。

長期間紫外線にさらされると、白内障翼状片(よくじょうへん)が引き起こされると考えられています。

①白内障
白内障は、水晶体のたんぱく質が変性し、徐々に濁ってきて視力が落ちてくる病気です。
白内障は加齢によるものが大部分を占めていますが、水晶体の濁りの原因の一部に紫外線が影響していると考えられています。
眼球の水晶体が濁ると失明に至ることがあり、白内障による失明者のうち、約2%に紫外線が関与していると考えられています。

②翼状片
翼状片は白目と黒目の境界が紫外線で傷つき、その修復の過程で発生すると考えられています。
その結果、白目の組織が異常に増殖して黒目にかかり、視力障害の原因となることがあります。
耳側から差し込む紫外線が鼻側に集まりやすいため、目の鼻側に起こりやすい特徴があります。進行すると翼状片を切除しますが、手術しても再発することがあります。

3.紫外線をどうやって予防するのか?

春

紫外線対策には、紫外線の量が多い時期や時間帯、その性質を知ることが大切です。

紫外線量は7月が最も多く、1月の約5倍といわれています。

いちばん暑い8月が、もっとも紫外線量が多いとは限らないのです。また、午前10時~午後2時までの紫外線量がもっとも多く、とくに12時前後の紫外線量が最も多くなります

くもりや雨の日でも紫外線は地表に届いており、くもりの日でも、20~30%の紫外線が届くといわれています。

 

さらに、アスファルト・コンクリートからの照り返しによる紫外線反射が20%、水面20% 、芝生や土でも10%あるといわれています。

とくに雪による紫外線反射は、雪がない時の1.8倍といわれ、また標高の高いところでは高くなるほど紫外線反射が強くなります。

紫外線予防アイテム

日傘 直射日光を効果的にさえぎってくれます。色の濃い黒地のものを選んで、低めの位置で使用しましょう。
日焼け止め 衣服で覆うことができない場所には、用途にあわせて日焼け止めクリームが使い分けましょう。
紫外線カットの
サングラス
紫外線カット加工をしているサングラスは、ほとんどの紫外線をカットすることができます。しかし、色の濃いサングラスは瞳孔が通常より大きく開いてしまうため、かえって多くの紫外線が侵入するため注意が必要です。
長袖・長ズボン 腕や肩、首まわりを守るためには長袖やえりのついた服を着るのがよいでしょう。
ビタミンC ビタミンCを多く摂ると白内障が減少するという報告もあります。

4.まとめ

太陽の光を浴びることで、体内時計をリセットして生活リズムが整えられたり、うつ病予防にもなると言われています。

しかし、長い時間つよい紫外線に当たり続けると、皮膚がんや白内障などの病気の原因になってしまいます。

1998年、母子手帳からも日光浴を奨励する記述が消えました。

これらを頭の片隅に入れておき、長時間の日射を余儀なくされるときには日焼け止めや日傘、長袖のシャツ、つばの広い帽子などを駆使して、紫外線対策をしっかりしましょう。