転職・仕事

【Googleから学ぶ後悔しない転職術】職場に苦手な人がいるだけで健康寿命を下げ仕事効率も下がる!?

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経営学の世界では、よくこんな言葉を耳にします。

「私たちは仕事を辞めるのではない、
ただその場の人間関係を立ち去るのだ

 

職場における人間関係の重要性を示したフレーズですが、思わず共感してしまう人は多いでしょう。

どれだけ仕事が好きで誇りを持っていても、パワハラ上司や気が合わない同僚など、人間関係が良くない環境の中何年も働き続けるのは、やはり幸福度も上がらないでしょう。

仕事の人間関係に悩むのは世界共通だった

taisyoku daikou

厚生労働省の統計によれば、「同僚と仕事やプライベートの会話で笑うことがあるか?」との問いに「はい」と答えた日本人の数は30%にすぎず、「会社内で信頼できる上司はいるか?」との質問にはおよそ87%が「いいえ」と答えています。

欧米で行われたリサーチでもこの傾向は変わらず、仕事の人間関係に悩むのは世界的共通のようです。

上司や同僚が仕事に及ぼす影響

上司や同僚が仕事に及ぼす影響の強さを示した例としては、500万人を対象に行われたアメリカの調査が有名です。

研究チームは被験者の職場における人間関係を調べ、次の傾向を導き出しました。

POINT

 職場に3人以上の友人がいる人は人生の満足度が96%も上がり、同時に自分の給料への満足度は2倍になる

 職場に最高の友人がいる場合は、仕事のモチベーションが7倍になり、作業スピードも上がる

この調査結果からも分かるように、仕事内容や給料の多さなどの要因とは関係なく、親しい人間が社内にいるだけでも仕事人生が幸福になるのは確実だと言えます。

 

さらに信頼性が高いデータとしては、フロリダ州立大学のメタ分析も参考になります。

こちらは約22万人のデータをより厳密に処理したもので、やはり「ソーシャルサポートの存在は仕事の満足度と相関する」との結果でした。

簡単に言い換えれば、「困ったときに自分を助けてくれる同僚がいると、楽しく働ける可能性が大きく上がる」ぐらいの意味になります。

人間関係が悪い職場にいると健康寿命が縮む

不安定モンスター社員

近年では、パワハラ上司やモラハラ同僚の悪影響を示したデータにも増えてきています。

中でも大きいのは、身体的・精神的な健康面へのダメージで、劣悪な人間関係の下で働く人ほど寿命が短くなるとの報告が多くされています。

具体的に数値で見ていきましょう。

POINT

  嫌な上司のもとで働く従業員は、いい上司の下で働く従業員に比べて心臓発作や脳卒中で死ぬリスクが60%高くなる

  嫌な同僚のせいで悪化したストレスは、たとえ会社を辞めても健康的なレベルに戻るまで22カ月(1年10カ月)かかる

  人間関係が悪い会社では、社員が高血圧や高コレステロール、糖尿病に悩む確率が20%増加する

人間関係の悪化が健康におよぼす影響は計り知れず、そのダメージのレベルは長時間労働や福利厚生が不足したときの悪影響を上回ります

 

「その会社で働く人を好きになれそうか?」といった人間関係を基準に職場を選ぶのも決して間違いとはいえません。

適職を探すときは「仲良くなれそうな人がいるか?」という観点を忘れないでください。

転職先生
転職先生
就活生も転職を考えている人も、“その会社へ実際に赴いて社内の雰囲気を知ること”がとても大切です。

活気がない、笑顔がない職場には、それなりの理由があるということです。

後悔の少ない転職先を選ぶ方法とは?

働き方改革

後悔しない職場選びに必須な“条件”について、Googleが調査結果を出しています。

最高のチームに必要なのは『心理的安全』

Google社は2012年に、「プロジェクト・アリストテレス」というリサーチチームを立ち上げ、従業員の働き方を最適化する方法を模索。

チームは、社内180の部署に広範なインタビューを行い、生産性が高いチームは何が違うのかを調べ上げました。

 

そこでわかった最終的な結論は、「最高のチームに必要なのは『心理的安全』だ」というものです。

 

「心理的安全」はチームに対する信頼感のことで、ざっくり言えば「どんなに大きい失敗や恥ずかしいミスをしても、この仲間ならバカにもされないし適切に助けてくれるだろう」と思える感覚を意味します。

カリスマ的なリーダーがいようが、チームメンバーの能力が高かろうが、心理的な安全性がもたらすメリットに比べれば、その他の要素はほとんど影響力を持たないのです。

ソーシャルサポートの有無と死亡率の関係

Googleによるこの発見は、昔から「ソーシャルサポート」と呼ばれてきた論点です。

職場の同僚との関係性が私たちの幸せに大きく関わっており、社内にいい友人がいない人ほど心疾患やがんにかかりやすい事実が確認されてきたそうです。

働き方改革

2010年、約30万人を対象に行われた「ソーシャルサポートの有無と死亡率」の分析では、いい同僚や上司に恵まれない人は、そうでないグループと比べて平均50%ほど早く死亡する傾向がありました。

その悪影響について、研究チームは「運動不足や喫煙よりも悪影響が大きい」と指摘しています。ソーシャルサポートがない職場にい続けるぐらいなら、毎日タバコを吸い続けるほうがまだマシだ、というわけです。

 

ソーシャルサポートの有無は外からの判断が難しいポイントではありますが、ひとまず次のポイントには注意してください。

CHECK

 社内での出世競争が激しすぎるような兆候はないか?

 マネジャーが従業員の成果にフィードバックを与えるシステムはできているか?
フィードバックを管理職の自主性だけに任せていないか?

 育児や出産休暇、健康維持のための補助金システムなど、社員に「困ったときは会社がどうにかする」というメッセージを発しているか?

 社内でどのような交流イベントが行われているか?

この記事のまとめ

まとめ

  • 職場に3人以上友人がいる場合、人生の満足度が96%上がり、給与への満足度も2倍になる
  • 職場に親しい友人がいる場合、仕事のモチベーションが7倍上がる
  • ソーシャルサポートの存在は仕事の満足度と相関している
  • 劣悪な人間環境下で働く人ほど寿命が短くなる
  • 嫌な上司のもとで働く従業員は心臓発作や脳卒中で死ぬリスクが高くなる
  • 人間関係でたまったストレスは、会社を辞めても健康的なレベルになるまで約2年かかる
  • 人間関係が悪い会社では、社員が高血圧や高コレステロール、糖尿病に悩む確率が20%増加する
  • 生産性が高い職場は『心理的安全』がある

転職や就職活動において、職場選びに失敗しないためにも、職場の人間関係がいかに重要視する必要があるか分かっていただけましたか?

実際に働いてみないと続きそうか分からないことが“職に就く”という上で難しい課題ですが、職場の人間関係には妥協しないよう心掛けましょう・